インタセクト・コミュニケーションズが2026年2月6日に発表した調査によると、2026年春節期間(2月15~23日)の中国人の海外旅行先は東南アジアが38.7%で1位、韓国16.5%で2位、日本は15.0%で3位となり、昨年春節から9.3ポイント低下した。一方、訪日予定者の61.5%が「渡航自粛の影響は全くなかった」と回答し、日本旅行の決め手は「日本独自の文化・芸術への関心」が55.9%で最多となった。訪問地は「ゴールデンルート+地方」の周遊型が48.5%と最も人気で、滞在中の体験として「地方の祭事・イベント」「聖地巡礼」「温泉旅館」などコト消費が上位を占め、「百貨店ショッピング」は17.9%で9位にとどまった。また、93.2%が日本のマナーを事前リサーチしており、「ごみの分別」59.2%、「撮影禁止場所のルール」47.6%など、高いマナー意識が示された。渡航自粛ムードの中でも訪日を選択する「日本ファン」層は、文化・体験重視でマナー意識が高い質の高い旅行者像が浮き彫りとなった。
所見
数字の減少を「質の向上」として評価する論調には警戒が必要だ。確かに今回訪日する層は日本への理解が深いが、それは同時に新規の日本ファンが育たなくなっていることを意味する。観光は経済効果だけでなく、草の根の文化交流として相互理解を深める重要な機会だ。政治的対立が個人の選択に影響を与え、特定層のみが訪れる構図は、開かれた観光立国の理念と矛盾する。マナー意識の高さは歓迎すべきだが、「日本は厳しい国だから予習が必要」というハードルの高さの裏返しでもある。地方経済への影響も軽視できない。短期的な数字ではなく、長期的な人的交流の維持こそが真の持続可能な観光であり、多くの人が日本を訪れる機会を失っている現実の重さを忘れてはならない。

